『寺子屋、福先生のつぶやき①』※らいとPLAZA五月号に掲載

―理想の親子関係とは―

よく遊び、よく学ぶ

『子どもと遊んで、お給料がいただける!』こんな恵まれた職業は他にない!との思いは、数十年の教師生活の原動力になりました。今になっても変わりません。
 私は根っからの『子ども好き』だったのかもしれません。『子ども達が学校にいる間は、一緒に過ごす。』このことが自然と私の日常になりました。
 担任を持つ教師の主たる任務は、学力を保証することは勿論ですが、それは、安心して学習に取り組める学級環境があって成し得ることなのです。教師は子どもが安心して過ごせる環境づくりに注力しなければなりません。
 子ども達が本音でぶつかり合う休み時間の遊びに、教師も参加し、楽しみや苦しみを共有することにより、休み時間でしか見えない子供の真の姿を知ることができます。
 同様に、わが子を正しく理解する第一歩は『子どもと遊ぶこと』なのです。これは長時間一緒に過ごすことではなく、短時間でも密度の高い時間を過ごすということです。

わが子を信じ切る親心

子どもたちの生きる世界は大人が考えるほど、甘いものではありません。いじめや悪口、暴力や怪我など様々な危険にさらされ、緊張した時間を過ごしているのが現実です。子ども達にとっての学校は生活の大部分でもあります。残りは家庭生活。この2つの生活空間で安心・安全が保障されなかったらどうでしょうか。
 多くの子ども達が直面する不登校や問題行動の主たる要因はこの『安心感・居甲斐感の欠如である。』と言っても過言ではありません。もし、学校生活に何らかの不安を感じ、周りに相談できる信頼する大人がいなかったら、様々な赤信号(問題行動)を発するのは当然の成り行きと言えるでしょう。頼るのは親か先生しかありません。『助けてください!』との叫びに早く気づき、心を寄せることができれば問題行動を未然に防ぐことができるでしょう。怪我や病気と同じく早期発見・治療が、不幸な子どもを救う最善の道なのです。
 年齢に関係なく、親子が信頼し合う姿は美しいものです。さぁ、今すぐに信頼感あふれる眼差しでわが子に接しましょう。

 次回からは実際の事例に基づいた、解決の具体策をお話ししたいと思います。