相次ぐ芸能人の自殺に思う

 このところ、著名人の自殺が相次いでいる。これは、教育的にも由々しき事態である。こうした死を決して美化してはならない。なぜなら、どんな事情があるにしろ、自殺は許されるべき行為ではないからだ。
 私は、小学4年生の時、同級生が川でおぼれ亡くなった。お葬式での家族の嘆き悲しむ姿を見て、子ども心にも不幸の現実を味わった記憶がある。家に帰って母親から「親に先立つ子の不孝」という諺の意味を諭されたことを鮮明に覚えている。そして二年後の六年生の時、私の身にも、その不幸が現実となった。姉が19歳で突然、亡くなり、母が精神的に病んでしまったのだ。
 たとえ、病死であったり、事故死であったり、やむを得ない死であっても、親は勿論、家族にとっては耐え難い不幸だ。『親に先立つ子の不孝』とは、不幸の最たるもので絶対に避けなければならない。
 私は、教師になって、このことだけは、教え子に言い続けてきた。「絶対に親より先に死ぬんじゃないよ!なぜなら、これ以上の不孝は世の中にないんだから!」
しかし、何の因果か、教師になって教え子を二人、列車事故と病気で失った。棺にすがりつくお母さんの姿を目の当たりにし、真剣に教師をやめようと思い悩んだ時期もある。
 長い人生には、誰だって死にたくなるほど辛いことに直面する。そこで踏ん張り“なにくそ”の頑張りで乗り越えた先にこそ、大きな喜びが待っているものだ。

  たとえ死神に召されても徹底的に抵抗し、生きながらえて下さい。